建設業の金額要件の改正

建設業の許可や制度の運用について、令和4年11月に新たな改正政令が公布されています(「建設業法施行令の一部を改正する政令」)。

その骨子はつぎのとおりです。

  1. 近年の工事費の上昇を踏まえ、建設業における金額要件を見直し……令和5年1月1日施行
  2. 技術検定の受験資格に関する見直し……令和6年4月1日施行

2については、従来政令の中で定めていた受験資格を国土交通省令で定めるよう変更するとのことです。また受験資格についても一部見直しが行なわれることになっています。これはまだ施行まで期間がありますので、べつに改めて整理します。

1の金額要件については、重要な改正を含んでいますので、それについて書き留めます。

特定建設業の区分に関する金額要件など

建設業許可は、一般建設業と特定建設業に区分されます。特定建設業は次に該当する建設業で、それ以外が一般建設業になります。

発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの

この政令で定める金額が、従来は、4,000万円とされていましたが、4,500万円に改正されます。なお、建築一式工事については、6,000万円とされていましたが、これも7,000万円に改正されます。

特定建設業の金額要件と関連して次の金額要件が同様に、4,000万円から4,500万円(建築一式は6,000万円から7,000万円)に改正されます。

  • 監理技術者の配置が必要な工事金額
    特定建設業の工事現場には監理技術者を置くこととされていますが、この監理技術者を設置すべき工事の請負金額の範囲が、特定建設業の区分に準じた金額になります。
  • 施工体制台帳の作成
    特定建設業者が一定金額以上の工事を請け負う場合、その工事について施工体制台帳を作成し、工事現場に備え置くこととされています。この金額も特定建設業の区分要件と同じく上記に改正されます。

主任技術者・監理技術者の専任を要する請負代金

「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」については、工事現場に置く主任技術者または監理技術者は専任でなければならないとされています。政令ではその工事の範囲について、国や地方公共団体が発注する工事、及びその他の公共性のある施設や工作物に関する工事を列記し、併せてその請負代金が現行では、3,500万円(建築一式工事では、7,000万円)以上とされていましたが、これが4,000万円(建築一式工事では、8,000万円)以上に改正されます。

特定専門工事の対象となる工事

特定専門工事とは、土木一式工事・建築一式工事以外の建設工事で、元請負人と下請負人が、「その合意により、元請負人がその特定専門工事につき置かなければならない主任技術者が、その職務と併せて、下請負人がその下請に係る工事につき置かなければならない主任技術者の職務を行なうことができる」とするものです。政令でその工事の範囲を以下のように指定し、併せて元請負人がこの工事のために締結した下請契約の請負代金(下請契約が複数あるときはそれらの総額)が現行3,500万円未満となるものと条件をつけていますが、この金額が4,000万円未満に改正されます。

・大工工事又はとび・土工・コンクリート工事のうち、コンクリートの打設に用いる型枠の組立てに関する工事
・鉄筋工事。

以上が令和5年1月施行の建設業の許認可に関連した金額要件の改正の内容になります。