建設キャリアアップシステム(CCUS)の概要

平成31(2019)年に、「建設技能者の能力評価制度に関する告示」が公布され、これに基づいて建設キャリアアップシステムがスタートしました。

「建設技能者」というのは、この告示によって、「工事現場における建設工事の施工に従事する者のうち当該建設工事を適正に実施するために必要な技能を有する者であって、建設キャリアアップシステムに登録された者」と位置づけられています。

つまり、この告示に従って整備される能力評価制度によって建設技能者の能力を評価し、「建設技能者が技能や経験に応じた評価や処遇を受けることのできる環境の整備を図るとともに、建設技能者のキャリアパスの明確化を図ることで、建設業の担い手を確保すること」を目的として、キャリアアップシステムは創設されています。

システム(以後、CCUSと表記します)の運用についてはべつにガイドラインなども出ていますから、それらに沿って概要をまとめておきます。

CCUSの目的と施策

CCUSの趣旨・目的については、もう少し具体的な骨子が次のように示されています。

  • 評価結果を活用して、取引先や顧客に対して技能水準を対外的にPRすることで、価格交渉力の強化を図り、技能に見合った評価や処遇を実施。
  • キャリアアップに必要な経験や技能を職種毎に明らかにすることで、建設技能者のキャリアパスの明確化を図り、若年層の入職を拡大し、定着を促進。
  • 建設技能者を雇用する専門工業企業の評価を連動させることにより、高い技能を有する建設技能者を育て、雇用する企業が選ばれる環境を整備し、建設業界における人材育成と処遇改善の好循環を創成。
  • 技能や経験に裏打ちされた建設技能者の地位の向上を図り、建設業全体のイメージアップを図る。

また、この目的を実現するために国が実施する施策として次の項目が挙げられています。

  • 建設技能者の能力評価制度と連動した「専門工事企業の施工能力の見える化」を図る仕組みの早期の構築。
  • 公共事業労務費調査における技能レベルに応じた賃金水準の調査とその結果の活用。
  • 建設技能者の能力評価制度により高い技能経験を有するとされた建設技能力に対する公共工事での評価についての検討。

公共工事での評価については、すでに経営事項審査の評価項目として採用され、地方自治体でも入札参加資格においてこれを積極的に評価する動きが出ています。

建設技能者の能力評価とCCUSの運用

建設技能者の能力の評価については、告示の定めに従って能力評価基準を策定し、国土交通大臣にその認定を受けた専門工事業団体(現在35団体)が行ないます。具体的には、建設技能者の能力や経験に応じてレベル1~4の4段階に区分するようになっています。

建設技能者がCCUSに技能者登録をすると、レベルに応じてキャリアアップカードが交付されます。その後、工事現場での就業記録や資格等をシステムに蓄積することによって、建設技能者のキャリアをアップするという流れになります。

また、建設業者は元請・下請にかかわらず事業者登録を行なった上で、CCUSの現場での運用等を行なうことになります。

なお、CCUSの登録等の運営については、(一社)建設業振興基金にその実務が一元化されています。

詳しい登録の仕組みや手順については稿を改めますが、関連のウェブサイトは下記になります。

建設キャリアアップシステム(CCUS)
建設キャリアアップシステムポータル(国土交通省ポータルサイト)