えるぼし、くるみん、ユースエール

令和5年1月実施の経営事項審査の要領の改正によって新設された評価項目の一つに、えるぼし、くるみん、ユースエールといった認定制度への対応があります。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、いずれも少子高齢化が進む日本の社会経済構造の変化に対応するために、雇用環境の改善を図ることを主な目的とした制度ということができるでしょう。

改正後の経営事項審査では、審査項目のW点(その他社会性)の中で、W1-9(ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況)としてこれらが評価されます。

簡単にいうと、えるぼしは女性の社会参加と雇用環境の改善、くるみんは職場における育児環境の改善、ユースエールは若い世代の育成と雇用環境の改善を図ることを内容として、これらの施策に定められた措置を実施する事業者に対して厚生労働大臣が認定を行うものです。

認定を受けた企業は、それぞれ内容に多少の違いはありますが、営業活動における認定マークの使用、政府系金融機関における融資の優遇措置などのメリットを受けることができ、建設業の経営事項審査において加点対象とされ、公共調達における優遇措置も設けられています。

以下に個別の経営事項審査の評価についてまとめておきます。

えるぼし

えるぼしは、「女性活躍推進法」に基づき、女性が働きやすい職場環境を実現するために、女性の雇用環境の改善に取り組んだ事業主について厚生労働大臣の認定を行う制度です。認定は、3段階のえるぼしとプラチナえるぼしがあり、受審する建設業者が審査基準日現在で認定を受けている状況に応じ次の点数が加点されます。

・プラチナえるぼし 5点
・えるぼし3段階  4点
・えるぼし2段階  3点
・えるぼし1段階  2点

くるみん

くるみんは、「次世代育成支援対策推進法」により、次世代を担う子どもの育成のための措置を行った事業主に対して設けられた認定制度です。この法律では、常時雇用する労働者が101人以上の企業について、「一般事業主行動計画」を定めて必要な措置を採ることを義務づける(100人以下は努力義務)ほか、育児休業や女性の継続雇用などの雇用環境の改善に取り組んだ事業主がくるみん認定を取得できるしくみが設けられています。

経営事項審査においては、建設業者が審査基準日現在においてこの認定を受けている場合、その種別に応じて次の点数が加点されます。

・プラチナくるみん 5点
・くるみん     3点
・トライくるみん  3点

ユースエール

ユースエールは、「若者雇用促進法」に基づく認定制度で、常時雇用する労働者が300人以下の事業主が、青少年の採用・育成等の雇用環境の改善に関する措置を行った場合、厚生労働大臣の認定を受けることができるというものです。

経営事項審査においては、受審する建設業者が審査基準日現在においてユースエール認定を受けている場合、4点が加点されます。

以上が、改正後の経営事項審査のW項目「ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況(W1-9)」の概要になります。なお、これらの認定を複数取得している場合は、経営事項審査の評点としては、そのうちの最大の点数のみが反映されます。

各制度の具体的な認定基準などは、ここでは長くなりますので割愛しますが、厚生労働省の特設サイト(認定の実務は都道府県の労働局)などがありますのでそれらを参考にしていただくといいでしょう。