建設業の経営事項審査については、この数年の間に、改正が相次いでいるので、その部分を整理しておきます。
経営事項審査の評価項目のアウトラインについては、〈経営事項審査の項目と基準〉にまとめています。
あらましは次のようになります。
- 経営規模(X)
完成工事高(X1)と自己資本額及び利益額(X2)に区分されます。 - 経営状況(Y)
定められた指標を用いて、経営状況分析機関が分析を行ないます。 - 技術力(Z)
技術職員数(Z1)と元請完成工事高(Z2)に区分されます。 - その他社会性等(W)
労働福祉の状況などの評価項目があります。
令和3年改正では、技術力(Z)とその他社会性等(W)部分に変更がありました。8月に出た令和5年施行の改正でも社会性等(W)部分が主体になっていますので、これらに焦点を絞って内容を見ておきます。
今回は、技術力について整理します。技術力項目は、技術職員数(Z1)と元請完成工事高(Z2)で構成されます。
この技術職員数について、令和3年改正で、監理技術者補佐が加点項目として追加されました。監理技術者制度の変更に伴い、監理技術者補佐が新たに制度化されたのに対応したものです。監理技術者補佐は、技術検定の方式変更に伴う1級技士補等が該当します。
技術職員の評価は、審査基準日に許可を受けた業種に従事する職員について、次の区分と評点に従って評価します。なお、一人の職員を技術職員として申請できるのは2業種までです。[ ]内がその評点になります。
- 特定建設業の専任技術者資格1級該当者(法第15条2号イ)で、監理技術者講習を受講した者 [6点]
講習受講については従来、「当期事業年度開始日の直前5年以内に受講したものに限る」という但し書きがありましたが、令和4年8月15日付け改正告示によって、「受講した日の属する年の翌年から起算して5年を経過しないものに限る」に変更、公布の日から施行されています。 - 特定建設業の専任技術者資格1級該当者(法第15条2号イ)で、1以外の者 [5点]
- 監理技術者補佐の資格を有する者(施行令第28条)……今回改正により新設・追加 [4点]
- 登録基幹技能者、能力評価基準のレベル4該当者 [3点]
- 専任技術者資格2級該当者(法第7条第2号ハ)、登録基礎ぐい工事試験・登録解体工事試験合格者、能力評価基準レベル3該当者 [2点]
- その他の専任技術者資格2級該当者(法第7条第2号イ、ロ、ハ又は法第15条2号ハ。実務経験を要する資格等が該当します) [1点]
能力評価基準は建設キャリアアップシステム(CCUS)に基づくものです。CCUSについては、建設分野に導入された新たな制度として、令和5年改正の中でも評価項目が追加されていますので後述します。